中小企業。いわゆる町工場だったり、昔からある商店だったりお店には後継者問題・事業承継問題っていうのがあることをよく聞きます。
「事業承継」とは、会社の経営を経営者から後継者へと引き継ぐことを意味します。
『継承』とは身分・権利・義務・財産などを引き継ぐことですが、『承継』とは地位・事業・精神などを引き継ぐことで意味あいが違います。
そんななか目にとまったニュースがあったので記事にします。
30代女性町工場社長に託す業種を越えた事業承継
実父急逝により「親孝行のため」に看護師という好きな仕事を辞めて家業の金属切削加工を継ぎ、2017年山本製作所有限会社(豊川市)三代目社長に就任されました。
自動車や住宅関係などこれまでと違う分野にも積極的に進出されましたが、コロナ禍で本業受注の90%を失ったときに、元看護師という経歴を持つ代表取締役の田中倫子さんが、製造業の強みを生かして新型コロナウイルスと戦う医療現場の力になろうと考案したのが、第1弾の『しっぽ貸し手』だそうです。
当初は、ドアノブやエレベーターのボタンなど、手で直接触りたくない部分を押す「タッチレスツール」の開発を目指してたそうですが、看護師時代の友人から「使い捨てのマスクを使い回している」「休憩中の保管場所に困る」などの悩みを聞いたことで、主機能を「マスク掛け」にするアイデアが浮かんだそうです。
引用先 https://yss-brand.jp/ 山本製作所有限会社 HPより引用
山本製作所有限会社 – 温もりあるモノ作り_真鍮切削加工・yss-brand(しっぽ貸し手・しっぽ使っ手)製造販売
殺菌作用やウイルスの不活性効果があるとされる真鍮の加工を本業を生かして何か自社製品が作れないかと考えて、真鍮という「(折れやすく)曲げ加工が難しい素材」を知り尽くした職人たちがその技術を生かし、田中さんの作るならダサいものは作りたくないという気持ちと、餌をあげていた野良猫のしっぽから、そのフォルムにヒントを得てその製品が完成し、マスクを清潔に保管できるアイデア商品が誕生したようです。
地元医療機関や福祉施設に寄贈し、評判になったものがメディアに取り上げられ次々に他のメディアにも取り上げられたようです。
それが第2弾の卓上マスク置き「しっぽ使っ手」にも繋がっていったようです。
真鍮の色合いの美しさや機能美に、そのデザインと素敵なオシャレな商品に仕上がっています。
アイデアと培われた加工技術とか町工場の未来のあるべき姿の一部分を示しているのではないかと今回注目しました。
本業の金属切削加工に加え、かき氷店等の飲食事業も展開にも目を向けてきた田中さんは、またかねてから菓子業界への進出も構想していたようで、2021年で92周年を迎えた奥三河(愛知県新城市)の老舗和菓子店(有限会社東御河屋製菓)の事業承継に手をあげて、三代目社長に就任(山本製作所有限会社の社長を兼任)したようです。
コロナ禍で沈みがちな地域に笑顔の素を届けようと、初となるコラボ商品「はにゃまるもちセット」を共同企画し、異業種間交流がはじまり、業種も社長の年代も規模も全く異なる2つの会社が地域に笑顔と元気をという信念で結びついて、それが最終的に事業継承までたどり着いたようです。
田中さんの地域の皆様に長く愛されてきた「とみかわや」をずっとこの先も続けてほしいとの思いが、老舗和菓子店2代目の今泉さんに伝わって、3代目田中さんの古き良きものを守りながらこれからの時代にも愛され続ける『とみかわや』を作っていきたいという想いに承継され、「とみかわや」創業100周年に向けて新体制を始動したというニュースを目にしたので今回の記事にしました。
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これから5年以内に経営者がリタイアする可能性のある企業のうち、約半数は後継者が決まっていないということも言われています。
日本の企業の多くが中小企業であるというのは知られていますが、後継者が決まっていない中小企業が、このまま何の対策も講じなければ、廃業を選択せざるを得なくなります。
雇用喪失や連鎖倒産を招きかねないとも言われますしそうなれば、日本社会全体に大きな影響を与えかねない問題です。
中小企業における事業承継は喫緊の社会課題となっており、円滑な事業承継の実現が今後の日本経済の行方に影響すると考えられます、
「大廃業時代」に突入している日本経済と言えるでしょう。
相続などの観点からいままでは親族などへの事業承継が多かったわけですが、中小企業だと、親の苦労を近くで見てきたことや、今の時代と事業内容とのギャップなどを肌で感じてきたりすると、子供などは違う職についたりしていて、本人には全くその気がないというのが実際多いようです。
そこで近年注目されてきたのが、M&Aによる第三者企業への事業承継です。
M&Aによる第三者企業への事業承継だと、従業員の雇用や取引との取引関係を維持できるのはもちろん、売り手側と買い手側の双方の資本や人材、ノウハウ、販路を活用して、両者をより大きく発展させることができる可能性もあるので互いにメリットがある退き方であると言えます。
創業者の積み上げてきたものをきちんと引き継いでもらえる事業承継にはそれなりに時間がかかるもので、早めに動く必要があります。
M&Aによる第三者企業への事業承継というものは、すでにビジネスとして成り立つ可能性が高いものであり、新しくビジネスをはじめる上で、ゼロからスタートするよりも早く軌道に乗せれるし、全くの素人からでもノウハウや従業員や販路なども獲得できたりと、自分も興味があることなので、そういうのにチャレンジしているのをみると今後詳しく調べてみたいなと思います。
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