めぞん一刻についていろいろと掘り下げていこうと思っています。
前回のお話はこちら ↓
今回はめぞん一刻・第9話『アルコール・ラブコール』から、注目すべきやりとりをみていこうと思います。
このページの引用元は 出典 高橋留美子 『めぞん一刻』
めぞん一刻・第9話『アルコール・ラブコール』よりになります。
以降 出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
朱美さんが酔っ払ってかえってきて、一の瀬さんも管理人の響子さんも呆れます。
五代くんもコンパで飲んでくるよと心配しているところに、外から五代くんと五代くんの友人坂本くんの声が聞こえてきます。
嵐の予感・・・。
坂本 「やるんだなっ ほ、本当にやるんだなっ。」
五代 「やるっ大々的に発表するろっ!!」
五代くん大声で
五代「ご町内のみなさまー」
管理人さんあわてて外に出てきます。
響子「五代さんやめなさい、夜中ですよ!!」
五代「私こと五代裕作は響子さんが好きでありまーす」
坂本「ちゃ、ちゃ、ちゃんと言えたじゃないか おれは心配したんだぞ。」
響子「五代さん・・・(赤面)」
五代「響子さーん 好きじゃあぁぁ」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
五代くんはお酒の力をかりたとはいえ、響子さんの前でその気持ちを叫びます。
そして響子さんが恥ずかしいからお部屋に行きましょうというと、
「僕が連れていってあげます」と響子さんを抱き抱えます。
そのまま五代くんの部屋の布団に倒れこむと、五代くんは寝てしまいました。
若いときに飲んで失敗という経験をされた方も多いのではないでしょうか。
五代くんもいつもの五代くんは上手く気持ちを伝えれない根性なしの五代くんの一面がありますが、大きな声できちんと響子さんに言えなかった響子さんのことが好きだという気持ちをここではっきりと伝えることになります。
意識してなかった響子さんを意識させた五代くんにとって転機につながっていきます。
ここで響子さんは五代くんのことを一人の男性と意識したのではないでしょうか。
意識はしても、旦那さんの惣一郎さんがなくなってからもまだ日が浅い響子さんにとっては、言い寄ってくる男性が一人できたにすぎず、あくまで少し意識しはじめたに過ぎないかもしれませんが、片思いでもひとつのはじまりで、そのスタートには意味あるものかもしれません。
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四谷 「ゆうべは惜しゅうございましたね」
五代 「は?」
四谷 「管理人さんおこってましたよ」
五代「えっ」
四谷「無理もありません。途中でやめたら女の人はおこります」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
五代くんはいろんな人に昨日自分が何をしたのか聞いてまわります。
一の瀬さんたちにも聞いて回りますが、一刻館の住人さんは冗談が過ぎる人が多く、五代くんは自分が大声で「響子さんすきじゃあ」と叫んだことを教えてもらえず、裸踊りをして響子さんにみろみろとせまったと・・・・
近所の人にもヒソヒソ話で笑われて・・・落ち込みます。
友人坂本くんは「途中でやめたから彼女がおこった」と四谷さんが言ったことを思い返し、おかしくないかと言いますが、五代くんは何か言ったのかなと、落ち込みます。
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響子さんは悩みます。そして犬の惣一郎に語りかけます。
響子 「わかんない。本気かしら」
響子 「でも冗談にしては度が過ぎるわよね。ゆうべ一晩じゅうかんがえこんじゃったもの」
響子「あのまんま、五代さんが眠らなかったら私・・・女だな・・・だめだわ・・・女ってだめだ。」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
響子さんのおしに弱い女性の部分がでている感じがします。
意識してなかった住人の男性からの突然の告白。
かなり意識してしまっているようです。
そこへ五代くんも悩みながらかえってきました。
何も覚えてないから、響子さんの前で恥ずかしい姿をみせてしまったと悩みます。
五代 「昨日はいろいろと・・・軽蔑してるでしょうね」
響子 「いえ、ちょっとびっくりしましたけど・・・」
五代「酒の上のふらちじゃ通りませんよね。」
響子「あの・・一般にああいうことは、シラフの時に真剣にやっていただいた方が・・・・」
五代「シラフでできますか、あんなことっ」
響子「あらっ!!酔っぱらってたんじゃ、本気か冗談か悩むじゃありませんか!」
五代「ぼくが本気であんなことする人間だと思ってるんですかっ!!」
響子「じゃあ冗談だったんですか?」
響子「冗談で好きだなんて言ったんですか!! あんまりだわ!!」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
裸おどりじゃなかったという事実にびっくりする五代くん
一瞬意識してしまった響子さんも、意識してしまったことに自己嫌悪におちいり、亡き惣一郎さんにあやまります。
めぞん一刻の魅力ですね。ラブコメの定番とも言えるすれ違いですね。
思い込みとすれ違いが激しいのがめぞん一刻の定番です。
響子さんは非常に思い込みの強い女性です。
思い込みが強いからこそ、未亡人になってからも、今後男性から言い寄られても煮え切らない部分があるのは、亡き旦那さんの惣一郎さんへの思いです。
そして響子さんが鈍感で、思い込みが激しく、ピュアでもあるので、つかず離れずの煮え切らないプラトニックな関係がはじまったとも言えます。
若いのに少し古風でもあり、真面目で、鈍感で、思い込みが激しいのに、自分の気持ちにも素直になれない女性。そんなのが管理人さんこと音無響子さんの性格と言えるでしょう。
そして、苦労を背負い込み、妄想癖が激しい、人が良いけど、要領が悪い、そしてまわりからからかわれるし、おもちゃにもされる。
そんな貧乏学生の五代くん。
すれ違いはあったけど、響子さんに気持ちを伝えたので?一応意識される存在へとかけあがっていく。そんなめぞん一刻のドラマのスタートともいえる第9話でした。
これからも、めぞん一刻に興味をもっていただければ幸いです。