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大阪国際女子マラソン2022ハイライト 女子マラソンも記録を狙った攻めた走りの時代復活へ 第41回大阪国際女子マラソン 優勝は松田瑞生。2位に上杉真穂。3位に松下菜摘。4位に谷本観月。5位に阿部有香里。6位に佐藤早也伽。MGCファイナリスト6人が決まる。

 

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引用元 https://www.daihatsu-trackandfield.jp/ ダイハツ陸上競技部HPより 写真を引用させてもらっています。

 

やはり強かった松田瑞生

一番強い選手とレース前から言われていたが、迷わず日本記録を狙う第一集団のペースメーカーにスタートからついた。

とにかくタイムで2時間20分切りを狙うんだという意欲が伝わってきて、そこにぶれるものはなかった。

30キロまでは日本記録を狙うタイムで進んだが、30キロから40キロ付近にかけては少し落ち込んでしまったため、20分切りを逃す。

それでも最後までナンバーワンの力をみせつけたレースだった。

体調は月経などの関係もありベストコンディションではなかったらしい。

逆に救われた部分はペースメーカーが終始3人ついたおかげで、最小限でペースダウンを免れたことかもしれない。

逆にペースメーカーは競り合うカタチではないため、タイムをあげるまでに至らなかった部分もあることが言えそう。

さらに高いレベルで競り合う流れだったら松田のギアがもう一つあがったかもしれない。

松田瑞生 (ダイハツ) 2時間20分52秒

 

 

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マラソンでの安定した成績や大阪で3度目、通算4度目の優勝は現役の日本人選手の中ではトップ

世界に挑戦する権利を得るべき選手に疑いはない

 

メンタルとその努力によって勝負強さは日本トップ

マラソンにおける強さとスピードで安定感ナンバーワン。

 

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ひかないメンタルとフォームの向上で躍進・上杉真穂

5000mや10000mのタイムなど中距離でのスピードは特別はやい方ではないスピードタイプの選手ではないが、距離が伸びたならトラックやハーフのベストタイムでも通過して走っていく度胸があると言っていた上杉真穂。

 

上を狙うから、先頭集団についていく。

上を狙うなら簡単にトップを譲っていいわけじゃないとレース前から第一集団で勝負する意欲をみせていました。

スピードタイプではないから無謀なのではというイメージを見事に崩してくれました。

 

マラソンがメンタルが大事な競技だというのを示してくれたと思います。

 

日本記録を狙うペースで走るペースメーカーに松田瑞生とともについたのは上杉真穂だけ。

実績ある松田瑞生に対して、昨年マラソンで大きくタイムをあげてきた上杉真穂は明らかにチャレンジャーでした。

松田がぶれずにハーフまで淡々とタイムを刻むのに対して、何度も苦しそうな表情を浮かべながらも遅れることなく食らいつく。

離れそうになっても離れない状況で耐えていた中、徐々に引き離されていく25キロ過ぎ。

25キロから30キロは前の5キロより30秒ほど遅れたが、それでも第2集団と同じくらいのペースで耐えていたので、松田から極端に遅れることなく、まだ走れている、遅れているわけじゃないんだと、一人旅になっても、前を追って走れたのが素晴らしい。

松田より30キロから35キロと35キロから40キロにかけてはそれぞれ30秒ずつ遅れていったが、その程度の落ち込みに抑えられて走ったおかげで、後ろから猛追する天満屋勢に最後まで影を踏ませなかった。

 

はやいペースについていったメンタルと、スピードはなくとも積み重ねてきた練習でのメンタルと自力で自己ベストを大きく更新させての2位で世界選手権候補に残った。

 

上杉真穂 (スターツ) 2時間22分29秒

 

今回の走りは次のレースに生きる走りだと思う。

今後も限界を考えずに突っ込んで入るレースができるだろうし、そこから粘れるというのはプラス。

フォームは大きくなっているのでストライドが伸びているという印象

今後に期待が持てる好走だった。

 

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2度目のマラソンも3位で天満屋のエース候補に名乗り。遅咲きの新鋭・松下菜摘

 

初マラソンの名古屋ウィメンズでいきなり3位に入った松下菜摘は学生時代目立った成績もない。

大学半ばから本格的に長距離や実業団を目指し始動し、地元天満屋へ入社。

スケートのショートトラックなどで鍛えた足の強さなどを生かして、名門でしっかりした走り込みをこなして、実力を徐々につけてきた遅咲きの選手。

3年ほど前から、10キロやハーフを走れるようになると、昨年は飛躍。

初マラソンで第2集団から抜け出しての3位は自信に。

チームのエース前田のオリンピック後の離脱の間、プリンセス駅伝・クイーンズ駅伝とエース区間で好走し、天満屋のエースに名乗りをあげる。

山陽女子ロードレースでも積極的な走りもマラソン練習の疲れなどもみえていたが、大事な大阪にはしっかりあわせてきた。

ウィメンズ同様第2集団の中でペースメーカについて淡々と走る。

しっかりと前を見据えた走りで、後半苦しくなってあげるレースを想定しているのが伝わる。

谷本観月・阿部有香里・佐藤早也伽と30キロをこえても一団となって走るが、他の選手が苦しくなってきても、ペースメーカーの後ろにぴったりついて前を見据える走り。

阿部有香里・谷本観月と苦しくなって佐藤早也伽も引き離し、35キロを3位で通過。

その後、同学年で先輩の谷本観月には迫られるも3位を守ってゴール。

 

松下菜摘 (天満屋)  2時間23分05秒

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2度目のレースでもしっかり結果を残したことで、マラソンの名門天満屋の新エース候補であることを証明した。

天満屋には前田穂南や小原 怜、そして4位に入った谷本観月などもいるが、まだまだマラソンで活躍しそうな選手はいる。

ルーキーの渡邉桃子も学生時代は無名とも呼べる選手だが、クイーンズなどでも区間賞をとるなど、出るレースで外れない強さをみせているので、間違いなくマラソンでも頭角をあらわす選手と言えそう。

2年目の大東優奈も距離をしっかりこなし、いずれマラソンへ挑戦してくる存在。

ルーキーで言えば、小汲紋加も駅伝やレースをしっかり踏んで、マラソンを目標にレベルアップ中。

ルーキーの学生時代の実績がある嵯峨山佳菜未らもマラソンで開花するのが待たれる存在。

松下・谷本などの学生時代無名からマラソンMGC入りは前田穂南などにも共通する点で、マラソンの天満屋は今後も強いのを予感させる。

 

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35キロから40キロにかけて最速は谷本観月。粘りの谷本が戻ってきた。

 

世界陸上ドーハにも出場し、日本人最上位の7位入賞も果たした谷本観月が若干の低迷を経て戻ってきた。

 

小柄でもともとスピードがあるタイプではない谷本観月は、懸命に腕を振って前へ前へとピッチをあげて後半追い上げて世界陸上の代表やMGCの権利も獲得した過去がある。

 

MCGを境に女子マラソンにもスピードの波が戻ってきた流れをうけて、スピードタイプではない谷本観月にとって試練の流れになっていたのかもしれない。

夏に強さをみせる精神力の強さはあるが、スピードではどうしても分が悪かった。

 

そんな中、今回の大阪ではしっかりと第2集団に同僚の松下とつけて、その中で松下同様、前を見据えてレースをすすめる。

遅くもないペースを刻む第2集団のペースメークに対して、わりに余裕を持ちながらつけたことは調子も良かったのかもしれないが、スピードも改善してきた証拠かもしれない。

松下菜摘・阿部有香里・佐藤早也伽と30キロをこえても一団となって走るが、阿部に続いてペースについていけなくなって厳しくなったのかに思えたが、そこから懸命に粘る。

前を走っていた佐藤早也伽を捉えると、さらに同僚の松下菜摘に迫る。

苦しくなってもペースダウンを最小限に抑えるメンタルはやはり強い。

急激に離されなければ逆に追えるのはマラソンでの強さ。

世界選手権でも最後まで前を追えて、7位入賞まで滑り込んだ強さが戻ってきた。

 

 

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谷本観月 (天満屋)  2時間23分11秒

 

ここで谷本も一気に23分台までタイムをあげてこれたことが大きい。

高速化が戻ってきた日本女子マラソン界でまだまだ戦えることをみせたのは大きい。

 

名門・天満屋からあと何人MGCファイナルにエントリーできるか楽しみになってきた。

 

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クロカンに強い阿部。マラソンでも確実に力が出せるようになってきた阿部有香里。

 

クロカンに強い阿部というイメージからマラソンでも強さを発揮しはじめた。

過去にはMGCに届かなくって悔しい思いをしたり、リタイアした経験などから、マラソンで結果出せなかったらやめようかという気持ちにもなったという阿部有香里。

昨年の大阪で好走し3位に入ってタイムもあげてきた阿部はさらに上を見据える。

 

今回も第2集団のペースメーカーにしっかりとつき

30キロまでは並走。

3位集団の中から一番先に遅れはじめるが、粘って前から落ちてきた佐藤早也伽を40キロ前に逆転して、そのまま自己ベストでゴールし、昨年のタイムを上回ってゴール。

 

阿部有香里 (しまむら)2時間24分02秒

 

順位以上に意味のあるレースだったと思う。

年齢的にはラストチャンスの年齢かもしれない。

MGCの権利をとり、年々タイムをあげるキャリアは立派。

都道府県駅伝1区で区間賞をとった経歴や、5000mの持ちタイムなどもある

ポテンシャルからはまだ伸び盛り、もしくは今全盛期を迎える選手かもしれない

 

マラソンは30代からでも勝負できる。

マラソンを目指す実業団女子に希望を与える存在になっていくかもしれない

 

 

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悔しい6位をバネに飛躍を、MGCファイナルの切符はとった佐藤早也伽。次はまたスピードを生かしたチャレンジを

2度のマラソンで、今ある実力を出し切ってきた佐藤早也伽だったが、順調でなかった直前の怪我などが響いたカタチに

過去の2度のマラソンは果敢にトップ集団についた佐藤早也伽だったが、今回は先頭のペースメーカーではなく2番目のペースメーカーについて3位集団を走ることを選んだ。

スピードがある佐藤早也伽にとってこの選択は怪我で万全の調整にもっていけなかったからの選択か、それとも後半あげていくネガティブスプリットをするためだったのか定かとは言えないが、結果は後半失速につながってしまった。

 

万全の調整でなかったことが3位集団からも苦しくなってしまうレース展開になったのだが、負けん気をみせて松下菜摘の前にいく姿勢をみせたが、それが無理につながったか、そこから大失速につながった。

 

ベストは上杉真穂がしたようなレース展開かもしれない。

スピードはあるし、過去の2レースも果敢についていった。

30キロ以上には課題があることも確認できたのが今後良い収穫に繋がるのではないか。

まだ3回目のマラソンということを考えると、年齢的にもこれから全盛期に持っていけると思うし、屈指のスピードランナータイプでもあるので今後に期待したい。

 

佐藤早也伽 (積水化学)2時間24分47秒

 

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同じ積水化学の新谷仁美がマラソンに復帰すると宣言している。

同じチームにライバルがいる。

ストライドが大きくスピードがある佐藤早也伽に期待する声は強い。

パリ五輪争いで主役を争う

佐藤早也伽の4度目に期待したい。

 

 

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次回はさらなる飛躍を川内理江

7位 川内理江 (大塚製薬) 2時間25分35秒

川内理江は岡山の興譲館高校出身。

今は大塚製薬でキャプテンをつとめている。

興譲館といえば、そうそうたるメンバーを輩出してきたが、全国トップから入賞圏内のチームになったころの主力メンバー

ただ、実業団に入っても続けたメンバーは徐々に頭角をあらわしてきている。

川内もここでタイムを一気にあげてきた。

次回に繋がる好走と言える。

次はもうひとつ上のステージで挑戦していける自信に繋がれば、まだまだ飛躍を望めそう。

 

復活の兆しもみえた岩出玲亜

8位 岩出玲亜 (千葉陸協) 2時間27分14秒

 

前のMGCにも名を連ねた岩出玲亜。

若かれしころからトップランナーとして戦ってきたが、MGCを境に低迷期かと心配されたが、8位とは言え、復活の兆しがみえたレースではなかったか。

25キロまでは3位集団につけ存在感をしめしたのは復活への第一歩ととれそう。

もうひと花咲かせて欲しいランナー

 

 

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入賞したランナーたちの年齢は大半が26~27前後の世代

今回の上位入賞選手の年齢をみてみると

(1)松田瑞生(26)
(2)上杉真穂(26)
(3)松下菜摘(27)
(4)谷本観月(27)
(5)阿部有香里(32)
(6)佐藤早也伽(27)
(7)川内理江(26)
(8)岩出玲亜(27)

そのなかでMGCに出たのは松田・岩出

権利を持っていたが、世界選手権代表を選んだ谷本はMGC辞退。

 

東京オリンピック代表は

前田穂南(25)

鈴木亜由子(30)

一山麻緒(24)

で前田・一山らの活躍が刺激になった上の世代とも言える。

中学・高校でトップクラスの成績をとれてなかった選手でも、マラソンでなら日本代表クラスにもなれると実業団に入ってから頑張った選手たちが次から次へと出てくる流れは、田中・廣中・萩谷ら20前後の選手がトラック主体で記録を更新して、世界に近づきだした流れもあるかもしれない。

また大学生で不破や高校生で米澤などの勢いがある存在が駅伝や中長距離を盛り上げている流れも少なからずあると思う。

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新谷仁美のマラソン再挑戦や、10000m代表で都道府県対抗女子駅伝のアンカーでも好走した安藤友香などもマラソンがメインになるだろう。

 

五島莉乃・木村友香など10000mで好成績をあげている選手たちもいずれはマラソンにチャレンジしてくるんじゃないかと想像しています。

まだまだ楽しみな選手が続々とでてきている状況。

 

中長距離界は今後ドンドンレベルの高い争いが繰り広げられる見込みで、高橋尚子さん野口みずきさん・渋井陽子さん・千葉真子さん・坂本直子さん・土佐礼子さんなどがしのぎを削って世界トップレベルだった時代を思わせる戦国時代をまた迎えそうな予感です。

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自己記録以上の記録を狙うペースで突っ込んだ選手が好成績

 

5キロ通過タイム

 

(1)松田瑞生(2)上杉真穂 16分28秒

2時間19分台前半を狙うペース


(3)松下菜摘(4)谷本観月
(5)阿部有香里(6)佐藤早也伽
(8)岩出玲亜 (9)加藤岬  の6人は16分58秒

2時間22分台後半を狙うペース

 

(7)川内理江(10)池満綾乃

(11)田中華絵 (12)山口遥 (15)萩原歩美 の5人は17分15秒

2時間25分台前半を狙うペース

 

5キロの時点で、どのペースでレースを進めていくかがはっきりと分かれたレースでした。持ちタイムなどからみて自重した選手と、自己記録以上のペースでとりあえずチャレンジを狙った選手とわかれた感じがします。

 

結果からいうと、しっかりチャレンジした選手が結果を残している感じです。

後半あげるネガティブスプリットが注目されましたが、後半はどの選手も前半よりはタイムを落としている感じではあります。

ただ世界と戦うには、まずトップ集団についていかなければ始まらない。

トップ集団についていってそこからどれだけ耐えれるか、やはりマラソンはトップ集団につけることが勝負する上では大事になります。

 

そういう意味では今回上杉真穂選手のようにしっかり攻めて最後まで粘るというレースは、世界に行くぞという姿勢を示した走りだったと思われます。

この姿勢が、間違いなく出場した選手も出場してない他の長距離を目指す選手にも響いたレースになったのではないでしょうか。

 

初マラソンの選手はどれだけ走れるかわからない部分がありますが、2時間30分を切るような記録を持っている選手ならば、20分を切るようなペースか22分を切るようなペースでチャレンジすることが間違いなく増えるでしょう。

そういうチャレンジが増えることでパリ五輪までの間に日本最高記録の更新が期待されます。

 

今大会で6名の選手がMGCファイナルへの出場権を手にしましたが、MGCを続けることが、日本マラソン復活への道筋であることには間違いないと思います。

男子のレベルは間違いなくあがったし、女子も凄い勢いであがっていくでしょう。

 

もう少し全体のレベルがあがってくれば、いずれはペースメーカーなし、もしくは20キロ程度までのペースメーカー起用というレースに変わっていってもらえればほんとのレベルアップにつながったと考える。

 

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第41回大阪国際女子マラソン 最終順位とタイム

 

 

優勝 松田瑞生 (ダイハツ) 2時間20分52秒

2位 上杉真穂 (スターツ) 2時間22分29秒

3位 松下菜摘 (天満屋)  2時間23分05秒

4位 谷本観月 (天満屋)  2時間23分11秒

5位 阿部有香里 (しまむら)2時間24分02秒

6位 佐藤早也伽 (積水化学)2時間24分47秒

7位 川内理江 (大塚製薬) 2時間25分35秒

8位 岩出玲亜 (千葉陸協) 2時間27分14秒

9位 加藤岬  (九電工)  2時間28分27秒

10位 池満綾乃(鹿児島銀行)2時間28分53秒

 

 

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