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共感されたい有馬かな。『推しの子』心理学。38話の『アンタの推しの子になってやる』宣言から

 

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推しの子の印象的なシーンからピックアップしてみます。

 

 

 

有馬かなの心の声より

ご丁寧に三人のサイリウム振って

箱推し気取りか?この浮気者め

本当にムカつく男 目に物見せてやる

 

決めたわ

私がアイドルやってる間に

必ずアンタのサイリウムを真っ白に染め上げてやる

 

私の事大好きにさせてみせる

 

『アンタの推しの子になってやる』

出典 赤坂アカ × 横槍メンゴ 『推しの子』 単行本 第4巻 第38話より

 

 

 

 

作品タイトルが『推しの子』で、推しのアイドルの双子に転生して新たな別の人生を生きるアクアとルビーのお話です。

そこには復讐なり、亡き母の想いなり夢への挑戦だったり、前世の自分と転生後の自分とのせめぎあいだったり・・・。

 

多くの伏線がはられている『推しの子』で『アンタの推しの子になってやる』とアクアを目の前に、有馬かなが心の中で叫ぶシーンが第38話のこのシーンです。

 

『推しの子』を読んでいけば読んでいくほど、有馬かなはヒロインに思えてくるほど重要な人物です。

有馬かなの心の声やエピソードが他の誰よりも大事に語られていることが多く、作者にとっても元天才子役の扱いというものは大事にされています。

 

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売れっ子天才子役として一世を風靡した有馬かなも、不遇の時代を迎え、仕事が減っていったなかでも、役者という仕事に対して努力することは辞めなかった有馬かな。

有馬かなは努力家で責任感が強い。

また、期待に応えれなかったタレントの苦しさを知っている。

有馬かながひねくれたことを口にするのも、心理学的にはわかりやすい行動で、ネガティブな発言をすることで、先に傷つくことで自分自身を守ろうとする保守的な行為からもくる部分だったり、否定的な内容を並べて、自分を虐げるのは、褒めて欲しいっていうあらわれからくる行動で、こういう描写からも、有馬かなっていうキャラクターを作者がしっかりと作り上げているのがわかります。

 

 

子役の栄光の時代が終わって暗黒の10数年が、自分の才能をひけらかすタイプだった有馬かなを、協調性をみにつけて、まわりにあわせて自分を犠牲にしてもバランスとって良い作品だと評価されて、その中で自分も評価されたいと考えるように変わっていった。

売れている時代から売れなくなっていく自分にファンはいないだろう。必要としてくれるまわりもいないだろうと考え、応援してくれるようなファンもいないだろうと、どこかネガティブに考えており、そのあたりはそう思うことで、実際いなかったとしたときに深く傷つかなくってすむという予防線をはるような考え方の心理描写というのは、非常にわかりやすい。

 

人気がない、アイドル志望でもない自分が、音痴なルビーと下手ウマなMEMちょといきなりの大きな舞台のフェスデビューでアイドルグループB小町のセンターをはることにためらい、大きな葛藤に揺れたシーンの描写などは、やはり『推しの子』のヒロインは有馬かななんじゃないかって感じられる部分でした。

 

芸能界という中で栄光から挫折やどん底の時代を経験してきた有馬かなにとって、ルビーやMEMちょにとっては自分の憧れのアイドルという職業につく第1歩で嬉しいものだったり、憧れへの緊張だったりするけれども、有馬かなにとってアイドルをする理由はと言われれば、アクアに『有馬はそこらのアイドルよりずっと可愛い』と妹をまかされただけで、迷っている中押し切られた中、責任感を持ってセンターとしてB小町を引っ張るのが有馬かなであって、口は悪いが根はすごく真面目な努力家で、責任感が強く、一人でプレッシャーを感じていた。

なりたいアイドルになれたルビーやMEMちょのようにステージを楽しむこともできず、ファンがいて、ファンができていく二人を羨ましく思いながらも、売れなくって今の自分にファンなどいないのではとネガティブな思考になって、みて、応援してと願うかながみつけた光がアクアの持った白いサイリウムの光だったシーンです。

 

 

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有馬かなは同情ではなく共感を求めています。

心理学でいえば多くの人が求めているものも同情ではなく共感を相手に求めています。

 

同情とは、相手の感情を追体験することなく、その人の痛みや不幸に対して心配や哀れみ、悲しみを感じたり表現したりすることです。

同情というのはある意味上からで、寄り添っていない状況です。

それに対して、共感とは、相手と同じ状況に自分が置かれたらどう感じるのかを想像する能力のことです。

相手の感情を理解し、自分に置き換えて自分の経験として自分の中に作り出して相手に寄り添おうとしているのが共感です。

多くの人が同情は求めてなく、共感して欲しいと願っているものです。

 

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売れてた時代とそうでなくなった時代を経験した有馬かなにとって、ネガティブな思考は、先に嫌なことが起きるんじゃないかと予防線をはることで、自分がそれ以上傷ついたときのために予防線をはる行為で、ネガティブはつらい過去の経験や実体験から経験を元に、予防線をはる行為なので、ネガティブ思考というのは、自分を守る行為から生まれています。

また不遇の時代も努力することをやめなかった有馬かなは、悩むだけ悩んだらそこからポジティブな考えにも切り替えれる強さも持ち合わせています。

人や弱さと強さが共存しているもので、誰しもポジティブとネガティブが勝ったり負けたりしながら、生きるというのをくり返します。

 

『推しの子』第38話の『アンタの推しの子になってやる』とかなが心の中で宣言したシーンは伏線がはられているはずです。

有馬かながアクアの推しの子になれるのか注目したいです。

 

アクアとかなははじめて共演したのが子役時代の1度でした。

そのときの有馬かなは売れっ子子役で、天狗になって大御所気取りで、アクアたちのかなに対する印象も最悪でした。

ただ、次に再会するときには有馬かなが変わっていて、協調性を持ち合わせていた面や、考え方も含めて大人に成長していた部分に触れて、子役の有馬かなからイメージアップになっていると思います。

最初に悪い印象から、良い印象に変わる方が心理学的に好きになりやすいものです。

最初から好きより、最初良い印象がなかったのに、その後良い印象で好きになる方がより好きになれるというのが『好意の返報性』などに影響されていると思います。

 

読者も、子役時代の有馬かなから、高校生になった有馬かなへの印象があがるのも、最初に良くない印象から、良い印象に変わるとより親しみを持って好きになるっていうのもあると思います。

『推しの子』という漫画やアニメのある場面を心理学などと絡めてこれからもいろんな視点で語れたら。

 

 

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