名古屋ウィメンズマラソンでパリ五輪の代表をかけて、大阪国際女子マラソンで前田穂南選手が出した2時間18分59秒に挑んだ安藤友香選手。
MGC3位の細田あい選手がケガで出場を断念する中、鈴木亜由子選手・加世田梨花選手・安藤友香選手が前田穂南選手の持つ日本記録に挑戦するだろうと見込まれました。
実際スタートからペースメーカーと外国人選手についた日本人選手はこの3名になりました。
気温的には走りやすい感じでスタートしましたが、やや風があり走るのには難しさがあるレースともなりました。
ペースメーカーも引っ張るのが難しいスピード設定とコンディションだったのかもしれません。
それでもギリギリのラインでペースメーカーがハーフまで持ちこたえながら運んできます。そんな流れに日本人選手の3人の選手もきちんと乗っかって遅れることなく続きました。
そんな3選手の中でも一番ペースに微動だにしなかったのが安藤友香選手でした。
ペース自体はあげさげがある流れだったのに無理なくついていく姿勢と集中力は鈴木選手や加世田選手よりも無駄がない感じで余裕がある雰囲気がありました。
ただ徐々にペースがあがってペースメーカーと外国人選手から距離がつきはじめた日本人選手たち。
給水のタイミングなどからペースが乱れたタイミングで徐々に水をあけられはじめました。
鈴木亜由子選手が一番先に厳しくなり、日本人選手は安藤友香選手と加世田梨花選手が並んで前の外国人選手たちを追う流れになりました。
大阪国際女子マラソンではハーフからネガティブスプリットで後半タイムをあげた前田穂南選手に比べると、ペースがあがらなくなってきた中でなんとか持ちこたえながら前を追うという流れになっていき、日本記録更新が徐々に厳しくなっていく流れの中で、なんとか持ちこたえながら前を追うというカタチで、差がそれ以上開かなくなってきて30キロをこえていきました。
名古屋のコースの広さがスピード感を失いやすい部分があるのを前がみえる感覚で追えるのがなんとかタイムをつなぎ止めていく消耗戦のレースとなりつつありました。
それくらい風と日差しはジワジワとスピードを奪っていっていたのかもしれません。
安藤友香選手は加世田梨花選手との並走が続きましたが、開いていた先頭との差がペースメーカーが外れて徐々に縮まっていく中で、安藤友香選手が加世田梨花選手を徐々に置いて引き離しはじめました。
前がみえて近づいているのを感じて、前を追う気持ちで懸命に前に進む安藤友香選手。
マラソンで自己記録更新ができない期間も22分台で走る強さはあった安藤友香選手でしたが、レース中気持ちで負けてペースダウンになってしまうレースが続いていました。
そんななか、前を追い続け、前を捉えるんだ。勝負するんだというレースが後半できたのが大きな進化でした。
それほど練習を積んで準備をし、パリ五輪へ殻を破るんだという意識のもとで名古屋ウィメンズに臨んだ気持ちがあらわれていた走りでした。
徐々に近づいてくるユニスチェビチー・チュンバ選手。
先頭を諦めることなく追い続け、そして先頭に並びました。
一気にいこうとしてもいけないことで、いけなかったから相手がいくタイミングできちんと後ろにつき、後ろにつかれることを嫌がるユニスチェビチー・チュンバ選手を追って左右についていき、ラスト1キロではしっかりスピードアップしてユニスチェビチー・チュンバ選手を引き離していきました。
粘るユニスチェビチー・チュンバ選手をロングスパートで引き離し、スピードが衰えることがなかったので、ドームの周回からドームの中へ入ってくる段階では勝負が決した感じになりました。
最後まで勝負して、自分の自己記録とも勝負して先頭でゴールテープを切った安藤友香選手。
はじめての優勝という称号と、賞金。そして初マラソンから7年止まっていた自己新記録をも更新し、自ら次へのステップを示しました。
パリ五輪のマラソン代表という夢は届かなかったですが、大きな大会で優勝するという栄誉は勝ち取りました。
有力な外国人選手も参加する大きな賞金がかかった名古屋ウィメンズマラソン。五輪の切符もかかっていただけに国内の有力選手も揃いました。
そんな中での優勝は非常に意味があることです。
パリを狙っていただけに悔しさもあったと思いますが、名古屋ウィメンズマラソンで手にしたものも大きかったので安藤友香選手にとって次へと繋がるレースになりました。
安定した力を持っていた中で、殻がやぶれたことは大きいです。
1月に走った大阪ハーフマラソンでも優勝しており、これで連勝になります。
【#JMCシリーズ #名古屋ウィメンズマラソン】
— 日本陸上競技連盟 (@jaaf_official) 2024年3月10日
優勝🏅#安藤友香(ワコール)🙋♀️コメント
「7年越しに自分の記録を更新できたことと、優勝という形でこの大会を終えられたことが、本当に素直に嬉しい。… pic.twitter.com/gZWIO1415v
スピードもあり、次のマラソンでは日本記録をかけてまたチャレンジする有力選手のひとりとしてまた期待されると思います。
日本記録を出した前田穂南選手も省エネ型走法。走り方やフォームは違うけれども安藤友香選手も省エネ走法。
省エネ走法で後半力が出し切れるタイプの選手が伸びていきそうです。
安藤友香選手もこれでマラソンの実績は間違いないものになってきたので今後非常に楽しみだと思います。
安藤友香選手の飛躍が20代後半から30代になってもチャレンジしていけるという流れを作るし、この世代の選手たちがまだ強いというのがマラソンという競技がキャリアとスピードと体力とメンタルなんだということになります。
まだまだこれからも1線で活躍して欲しいなと思っています。
パリ五輪には届かなかったですが、安藤友香選手や鈴木亜由子選手や加世田梨花選手も最後まで諦めない走りが今後の日本の女子マラソンの飛躍に繋がると感じた人も多かったでしょうし、またそれをみて自分もという気持ちになった選手も多かったでしょうし、走りをみていたファンなどの人たちも心に響いたと思います。
これからも安藤友香選手の飛躍を応援していきたいと思います。
最後まで諦めない安藤友香選手の見事な優勝でした。
オフィシャルデータ プロフィール
画像など引用させていただきました
引用元
https://www.wacoal.jp/spark-angels/index.html
ワコール女子陸上競技部 スパークエンジェルス HPから写真を引用させてもらっています。
引用元
日本陸上競技連盟公式サイト - Japan Association of Athletics Federations
JAAF 日本陸上競技連盟公式サイト HPから写真を引用させてもらっています。
名前
安藤 友香
生年月日 1994年 3月 16日
身長 160cm
出身地(都道府県) 岐阜県
出身校 (最終) 豊川高等学校卒
所属
ワコール女子陸上競技部
マラソンベスト
2024.3 名古屋ウィメンズマラソン
2時間21分18秒
主なハーフ・フルマラソン結果
24年 名古屋ウィメンズマラソン 1位 2時間21分18秒
24年 大阪ハーフマラソン 1位 1時間8分18秒
23年 第2回マラソングランドチャンピオンシップ 9位 2時間27分47秒
23年 サフォークランド士別ハーフマラソン大会 3位
23年 大阪国際女子マラソン大会2023 3位 2時間22分59秒 日本人1位
22年 函館マラソン大会2022 4位
22年 名古屋ウィメンズマラソン大会2022 3位 2時間22分22秒 日本人1位
22年 全日本実業団ハーフマラソン大会2022 3位 1時間8分13秒 ハーフベスト
21年 山陽女子ロードレース大会2021 8位
21年 新潟ハーフマラソン大会2021 優勝 1時間10分04秒
21年 全日本実業団ハーフマラソン大会2021 優勝 1時間9分54秒
20年 山陽女子ロードレース大会2020 8位
20年 名古屋ウィメンズマラソン大会2020 2位 2時間22分41秒
19年 山陽女子ロードレース大会2019 4位 1時間9分38秒
19年 マラソングランドチャンピオンシップ 8位 2時間36分29秒
19年 函館マラソン大会2019 2位 1時間9分47秒
19年 ロンドンマラソン大会2019 13位 2時間26分47秒
19年 新潟ハーフマラソン大会2019 優勝
18年 大阪国際女子マラソン大会2018 3位 2時間27分37秒
17年 世界陸上競技選手権大会(ロンドン大会) 2時間31分31秒 17位
17年 名古屋ウィメンズマラソン大会2017 2位 2時間21分36秒 マラソンベスト 初マラソン日本最高