めぞん一刻についていろいろと掘り下げていこうと思っています。
前回のお話はこちら ↓
今回は第19話『ケガの功名争い』より、注目すべきやりとりをみていこうと思います。
このページの引用元は 出典 高橋留美子 『めぞん一刻』
第19話『ケガの功名争い』より引用になります。
以降 出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
三鷹さんがコーチをするテニススクールに通う響子さん。
三鷹コーチと打ち合いをしているとき脚を捻って倒れてしまいます。
倒れている響子さんをお姫様だっこで抱き上げます。
色男な三鷹さんだからできるどこかの王子様のような行動、流石です。
三鷹さん 「病院までお送りしますっ。」
響子さん「えっ、ちょっと、お、おろしてください、そんな大げさな・・・」
一の瀬のおばさん「あんたも露骨だねー」
三鷹さん 「変な気をまわさないでください。これもコーチのつとめです。」
一の瀬のおばさん「じゃーあたしがケガしたら、そうやって抱いてくれんの」
青ざめる三鷹さん、顔を赤らめる響子さん・・・
一の瀬のおばさん「いーんだよ、無理に答えなくても」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
一の瀬のおばさんのするどさがこの漫画の面白さでもあります。
こういう突っ込みがあるから、読者は感情移入しやすく、個々の心情を掴むこともできます。
はっきり突っ込むから際立つんです。
それにしてもこういう露骨でもスタンドプレーできるかっこよさっていうのは、色男で、そういうキャラだから許されるわけです。
露骨でもここまでできるとされた方はキュンとくるものですね。
でもどこかにぶさがある響子さんの鈍感力がめぞん一刻のすれ違いやつかず離れずの関係を担保しているので、まわりの男からすれば難しい女ですね。
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ケガをして寝てるだけな響子さんのまわりに、三鷹さんはスタンドプレーで部屋までおしかけ料理をごちそうします。
さすが三鷹さん。料理も上手です。
そして、普段問題ばかりの住人朱美さんや四谷さんも管理人さんにたいやきやたこ焼きを持ち込みます。
誠意はうけとらなくっちゃっと思う響子さんですが、食べるのを待つ朱美さんや四谷さんを前に無理してたこ焼きとたいやきを食べてしまいます。
お腹いっぱいで寝込んでいる響子さんのところに五代さんが帰ってきます。
五代くんはラーメンを差し出して
五代くん 「あの・・・お腹すいてると思って・・・ほんの気持ちです。」
こんな顔されたら断れないわ・・・
響子さんは五代くんの見守る前でラーメンをすすります・・・。
その後五代くんは事実を知ることになります。
五代くん「たいやきにたこやき」
四谷さん「きみ、ラーメンあげたんですか」
朱美さん「やーね、断わりゃいいのに」
五代くん「汁まで全部飲んで、にっこり笑ったのに。」
四谷さん「そこが彼女の偉大なところですな」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
ほんと響子さんの人間性を感じる部分ですね。
響子さんはこのまま病人扱いされたら身が持たないと思って、身体をタオルで拭いて着替えて起きようと準備します。
五代くんは響子さんがお腹を壊していると思い、胃薬を片手に管理人室のドアを開けます。急に開けられたドアの前には上半身裸の響子さん。
これは五代くんダメですね。
人としてノックもしないで他人の部屋のドアをあけるとかありえないですね。
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響子さんに洗面器を投げつけられお湯をかけられた五代くん。
住人の何ごとかと管理人室に集まります。
一の瀬のおばさんが管理人室のドアをあけると、服がはだけた状態の響子さんが・・・
一の瀬のおばさん 「あんた、さては管理人さんが動けないのをいいことに、見損なったよ」
五代くん「誤解です」
朱美さん「この状況はどー見ても強姦未遂よ」
五代くん「すいません、いきなり開けちゃって」
響子さん「もういいですから、ドア閉めてください」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
その後部屋に転がっている胃腸薬を目にした響子さん。
五代くんが心配して急に部屋に入ってきたんだと気づきます。
そして、薬をのみます。
これで五代くんにはお咎めなし。
五代くんはケガの功名で響子さんのセクシーな姿をみることになります。
その後、洗面器をぶつけられてケガしたおでこを響子さんから心配されるほどに・・・。
結果五代くんにもケガの功名があったのかもしれません。
その様子をみた三鷹さんは五代くんと響子さんの間に何かあったのではと気づいたはずです。
響子さんに料理を作りにきた三鷹さんは、「五代くん食べてよ」と誘います。
このあたりが三鷹さんの余裕というか、やはりかっこいい男です。
五代くんもびっくりするくらい美味しい料理に、「うまいですよ」と言わざるを得ません。
響子さんも
『三鷹さんのお嫁さんになる人、しあわせね・・・』
と言ってしまいます。
一般論と響子さんはすぐ濁しますが、ニコニコする三鷹さんに、ぶすっとする五代くん。
ときに他人事のような響子さんの発言が、三角関係を動かします。
響子さんにとっては三角関係であるのはわかっているけど、こういう発言が出てくるところが、今の響子さんのどっちつかずというより、未亡人でまだ亡くなった旦那さん以外は恋愛対象の相手とそこまでみれてないんだろうなっていう一面をみれる部分なのかもしれません。
ふいにでるひとことに本心があったりするのはよくあることだと思うので、そういう中にこのときの響子さんの心情っていうのが出てきているんじゃないかなと思います。
三角関係っていうのもそれぞれの立場に感情移入しやすいので、ハラハラ、ドキドキしちゃうのが面白さでもありますね。
これからも、めぞん一刻に興味をもっていただければ幸いです。