めぞん一刻についていろいろと掘り下げていこうと思っています。
前回のお話はこちら ↓
今回は第23話『帰らざる彼』より、注目すべきやりとりをみていこうと思います。
このページの引用元は 出典 高橋留美子 『めぞん一刻』
第23話『帰らざる彼』より
以降 出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
大晦日五代くんとふたりっきりだったことを問い詰められる響子さん
朱美さん 「手も握らず?」
響子さん 「びっくりするくらい清らかな夜でしたわ」
里帰りしてなかなか帰ってこない五代くんに対して
一の瀬のおばさん 「惚れた女よりかーちゃんの方がいいのかね」
・・・
・・・「なーんにもなかったのかあー」
響子さん 「くどいですね」
朱美・一ノ瀬ともに 「キスもしなかったの?」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
管理人の響子さんに何かあったら自分たちの責任だと心配しながらも、何かあったんじゃないかと探りをいれる一の瀬のおばさんと朱美さん。
盛りの20歳の男子と、2つ年上の未亡人の響子さんがふたりっきりで一室で過ごしたという状況は痴話ばなしが好きな女性にとっては気になるネタになってしまいます。
こういう話に乗ってこない響子さんの堅物感やつれない女な感じは響子さんのおかたさを印象付けていきます。
響子さんがどこか抜けてる印象もカタチづけていくのが良いキャラクターに仕上がっていきます。
五代くんがお正月明けてもなかなか里の新潟から帰ってこないのは、ラグビーで顔にアザを作ってしまったからです。
その顔を響子さんには見せれないと、腫れがひくまで帰りたくないという五代くんのお男心です。
好きな相手にはカッコ悪いところはみせたくないものですね。
でも五代くんは普段から結構だらしないところなどを響子さんにみせてきているので、ここでカッコつけるのは誰も擁護してくれないでしょう。
実際に五代くんのばあちゃんからははやく帰って管理人さんに会いたいのを突っ込まれています。
そんななかなかかえってこない五代くんのことを少し気になりはじめている響子さん。
三鷹さん 「音無さん、お茶でも飲んできません?」
一の瀬のおばさん 「行きなよ、コーチになぐさめてもらえば?・・・・五代くんが帰ってこないから、さびしいんだってさ。」
響子さん 「すぐそういうことを言う。・・・じゃちょっとだけ行きますか。」
三鷹さん 「五代くんの代打じゃないでしょうね」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
三鷹さんは紳士ですが、大人の男ですね。
女性を誘うのが自然で上手いです。
五代くんだとあらたまりすぎてなかなか言えないひとことを、さらっと言うから重く感じない。
プレイボーイのレベルが三鷹さんと五代くんでは大人と子供、プロとアマくらいの差があります。
さらっと誘われるから、お堅い響子さんでも軽くデートしちゃうわけです。
三鷹さんはプレイボーイですが、ほんと紳士です。
恋のライバル関係の五代くんと比べても魅力的な男性のようにみえますね。
響子さんは五代くんと三鷹さんからの好意を感じつつも、未亡人という立場で亡くなった旦那さんに操をたてている状況が、なびきそうでなびかない難しい女を演出しています。
気にしていない素ぶりをしていた響子さんもなかなか帰ってこない五代くんにイライラしていきます。
管理人さんの響子さんへ、親が引き止めたからもう少し里にいるということを電話してきて、学校がはじまってもかえってこない五代くんにイライラします。
五代くんはまた妄想癖でよそ見したせいで電柱に顔をぶつけて顔にさらなるアザをつくっていまいます。
それを知らない響子さんは帰ってこない五代くんにイライラしていきます。
響子さん 「里心がついたんでしょ・・・困るわ本当に。お家賃だって納めてもらわなくちゃいけないし・・・」
などと、普段言わないような愚痴をいってしまいます。
突っ込んでいる朱美さんや一の瀬のおばさんも
朱美さん 「そうとうカリカリきてるね。」
一の瀬のおばさん 「こーゆー時はからかわない方がいいよ。」
響子さん 「大声で密談しないでください」
出典 高橋留美子 『めぞん一刻』より
密談も聞こえるように大声で話す朱美さんと一の瀬さん。
イライラカリカリしている響子さんを痴話ばなしのネタにして楽しんでいますね。
響子さんは最初は気にしてない様子を貫いていましたが、徐々に『なにやってんのあのバカ。』『もう知らない。長びくんならまめに連絡すべきだわ。』という気持ちになっています。
この時点で、響子さんは管理人さんの立場以上に五代くんのことに私情をはさみつつあるのがわかります。
つまりそばにいるとわからない感情が離れたことで感じるさみしさみたいなものに感じているのかもしれません。
恋愛も押してダメならひいてみなみたいなことを言いますが、こういう心理なのかもしれませんね。
好意をもたれている相手がすこし離れていくと寂しく感じるのも人間の心理なのでしょうか。
こういう心理なども感じれるのがめぞん一刻の面白いところですね。
五代くんはまだ顔にアザが残っていましたが、親御さんたちから追い出されて一刻館にかえってきました。
響子さんに顔をみられたくないと思った五代くんは、『別にあわなくてもいい』と言ってしまってそれを聞いた響子さんは少し怒ってしまいますが、五代くんがみせたくなかった顔のアザをみてしまうと笑ってしまいました。
面白いと思ったのと、顔をあわせたくないという理由がわかったことでの安心感からくる笑みだったかもしれません。
五代くんが帰ってきて響子さんにも笑顔が戻った瞬間でした。
これからも、めぞん一刻に興味をもっていただければ幸いです。