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推しの子・第1話『母と子』より 星や神を意識。舞台の高千穂は渓谷と神話に彩られた日本の聖地

 

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推しの子についていろいろと掘り下げていこうと思っています。

 

 

今回は推しの子・第1話『母と子』より、注目すべきやりとりをみていこうと思います。

このページの引用元は 出典 赤坂アカ × 横槍メンゴ 『推しの子』 

推しの子・第1話『母と子』よりになります。

以降 出典 赤坂アカ × 横槍メンゴ 『推しの子』より

 この物語はフィクションである

 

というか

この世は大抵はフィクションである

 

捏造して

誇張して

都合の悪い部分はきれいに隠す

 

ならば上手な嘘を吐いてほしいのがアイドルファンというものだ

 

この芸能界において

 

嘘は武器だ

 

 

出典 赤坂アカ × 横槍メンゴ 『推しの子』より

 

推しの子というタイトルから推しのアイドルの話であることが連想されるはじまりと、1話の最後でその推しのアイドルの子供として転生する2重の意味を持たせたストーリーであることが推しの子・第1話『母と子』よりわかるのである。

 

宮崎の片田舎で産婦人科医師をしているゴローの前に推しのアイドル星野アイ16歳が妊娠してあらわれる。

ゴローがアイを推すきっかけになったのが退形成性星細胞腫を患ったさりなという少女との出会いで、さりなの推していたアイドルがアイでした。

フィクションであるという風にスタートして、推しのアイドルの子供に転生するという。

フィクションとは作りごと。虚構であるといっています。

ゴローの転生は、まさか自分の話になるということが考えられなかったという展開にもっていっています。

 

 

 

 

 

さりな 「もしも芸能人の子供の生まれていたらって考えたことない?容姿やコネクションを生まれたときから持ち合わせていたらって・・・」

 

それを聞いたゴローはこう言います

 

 ゴロー   「さりなちゃんも可愛いじゃん。生まれ変わる必要なんてない。退院したらアイドルにでもなればいい。そしたら俺が推してやるよ」

 

出典 赤坂アカ × 横槍メンゴ 『推しの子』より

 

お医者さんとしてゴローは患者のさりなちゃんに生きる未来を夢みさせるような言葉をかけます。

現実から逃避したくらなるようなつらい病気を患った少女のさりなは、別の人生があったならということを夢みます。

それにたいして、病気に打ち勝ってその先の明るい未来を希望に頑張ろうと声かけるお医者さんって素敵で、そんなお医者さんゴローに信頼や好意を寄せる12歳のさりなちゃんは、そう思うよねっていう共感から、推しの子っていうストーリーに引き込んでいくようです。

共感しやすい、感情移入しやすいっていうのがストーリーや人物に引き込んでいく部分が推しの子でも上手く描写されています。

 

たったこれだけの言葉ですが、ゴローがアイドルアイを追ったストーカーや犯人の手で殺される寸前、転生のきっかけとなったかもしれない想いや未練などにも繋がったとも考えさせるところがすごいですね。

 

 

 

 

 

 

 

出典 赤坂アカ × 横槍メンゴ 『推しの子』より

 

一番星と星野アイを重ねるシーンです。

アイドルと星(スター)を重ねるシーンですが、一番星とは夕方一番最初に輝いてみえる星を指しています。

一般的には宵の明星である金星を指すことが多いと言われています。

金星は太陽の近くにあり、明けと宵にのみ観測できるもので、太陽と月の次に明るい星として明星と呼ばれる星です。

金星はヴィーナスとも呼ばれ、女性の名前をあてられることが多い星です。

美と愛の女神のヴィーナスやら、明るさ美しさゆえの美の女神としての名前を持っています。

日本でも、金星を神格化した神とされるものは、日本書紀に出てくる天津甕星(あまつみかぼし)などがあります。

推しのアイドルの名前が星野アイということは、スターの星という意味合いや、金星を意識した愛の星ヴィーナスを意識したお話というのを意識させるところなど推しの子のストーリーに意味合いを持たせることでフィクションを深く作りこんだものにしているのがわかります。

ストーリーがアイドル=スターのお話から、転生のお話に意味合いを持たせる意味でも、古代から星を神秘的なものととらえてきた人にとって、星とだぶらせることで、神がかったものや運命・宿命のものであるかのような繋がりをもたせているのが、推しの子っていうお話を、いろんな側面から読者に考えさせるものになっているところなどは素晴らしいです。

そして星野アイの目には星がキラキラ輝いていて、それがスターでもあり、また星を意識した神や、輝きなどの表現にも使われているようにも思えます。

 

天津甕星(あまつみかぼし)は、日本神話に登場する星の神ではあるが、この神は邪神・悪神として扱われていたようです。

 

一云「二神、遂誅邪神及草木石類、皆已平了。其所不服者、唯星神香香背男耳。 故加遣倭文神建葉槌命者則服。故二神登天也。倭文神、此云斯圖梨俄未。」

一書曰、天神、遣經津主神・武甕槌神、使平定葦原中國。 時二神曰「天有惡神、名曰天津甕星、亦名天香香背男。請先誅此神、然後下撥葦原中國。」

 

力を持ちすぎて手に負えぬ存在で、賛同するなら正義、賛同しないなら悪と考えられ、賛同しなかったから悪として扱われた存在だったようです。

 

そんな意味あいがあってか、関係ないのかは知らないですが、アイは『嘘は とびきりの愛なんだよ』発しています。

嘘は悪とされますが、嘘の中にも人を幸せにする嘘もあります。

正直が正しいとされますが、正直が人を傷つけることもあります。

 

おそらく、嘘も愛のひとつであるということかもしれません。

愛とは相手からどう思われようとも、見返りや報酬などなくとも大切に大事に思う優しさみたいなもので、傷つけないように接することが愛でもあると言えるかもしれません。

世の中生きていれば紙一重だったり、どっちに転ぶかわからないようなことも多々あります。

臨機応変や、TPOなど、時と場所、場合や場面に合わせて行動や言動の正しいとか間違いとかは変わっていくものというのも発しているのかもしれません。

いろいろな視点から推しの子っていう作品を読んでいけたら面白いのかもしれません。

 

それにしても、星野アイという名前だったり、さりなちゃんの病気が退形成性星細胞腫という病気であったり、アイドル=スターだったり、星のカタチをした瞳の輝きだったり、一番星とてらしあわせたり、星にまつわる意味合いを感じさせる作品のはじまりかたでしたね。

 

この推しの子は芸能界の話も描いています。

芸能界に集まるような美男美女を描いても不思議ではないというところが、魅力的なキャラクターを次から次へと投入していけるっていうところにも、この推しの子っていう作品が魅力的に仕上がっているし、そんなキャラクターが出てきても共感できるっていう風になるのもそういう背景があるからでしょう。

一般的な話に美男美女ばかり出てきても、フィクションだよねってなるけど、そういう世界を描くなら、魅力的なキャラクターが主人公たちのまわりに集まってきてもリアリティーあるものとして扱われるのも違和感ないものともいえます。

 

1話で話の舞台になった宮崎の片田舎ですが、高千穂ですね。

高千穂は渓谷と神話に彩られた日本の聖地と呼ばれています。

高千穂は天孫降臨神話と岩戸神話の2大聖地を抱える「神話のふる里」でもあります。

パワースポットとしても有名な場所であるこの舞台だからこそ、転生だったり神の降臨だったりも意識される場所として描かれたんでしょうね。

 

これからも、『推しの子』に興味をもっていただければ幸いです。

 

不定期に各話のピックアップと『推しの子からみる心理学』を書いてみます。

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